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世田谷の司法書士三谷のブログ

預貯金と遺産分割について

2017年2月 13日 (月)

1.相続による預貯金の払い戻し

 相続が発生し、相続財産である預貯金を払い戻そうという場合、通常、まず金融機関に連絡をし、手続の方法、手続きに必要な書類のリストが記載された案内文書を受け取ります。その後、必要書類を収集したり、作成したうえで、金融機関に提出することになります。
 この際に、誰がいくら受け取るかなど、預貯金の払い戻し方法について、相続人全員が署名・押印した同意書の提出を求められます。相続人間で意見の相違がなく、この方法で払戻を行う場合、どの相続人がいくら受け取るかについて、特段の制限はありません。
    平成28年12月19日の最高裁大法廷決定により、判例変更がなされ、預貯金も遺産分割の対象になると判断されましたが、相続人間で意見の相違がなく、支払いのため預貯金の払い戻しを急ぐなどの特段の事情がなければ、相続人全員が同意した文書を提出し、制限なく払い戻しを受ける方法に大きな影響はありません。

2.預貯金は遺産分割の対象財産になる

   相続人間で話し合いがまとまらず、遺産分割の調停や審判手続になった場合には、これまで預貯金が遺産分割調停や審判で取り扱うべき財産か否か、という問題がありました。
   相続人全員が預貯金を遺産分割の対象とすることを合意した場合に限って、預貯金も遺産分割の対象財産となるが、相続人全員が遺産分割の対象とすることに合意しない場合には、遺産分割の対象財産に含めることができないというのが、これまでの家庭裁判所の実務でした。
   しかし、平成28年12月19日の最高裁大法廷決定により、判例変更がなされ、預貯金も遺産分割の対象になると判断されたわけです。今後は、相続人の合意の有無にかかわらず、預貯金も遺産分割の対象になると考えられます。

3.銀行の対応

   預貯金について、従来の判例は、「預貯金は相続開始と同時に、当然、法定の相続割合に分割され、各相続人は、金融機関に対し、その相続分に応じた預貯金の払戻しを請求することができる」としてきました。銀行も、個別の事情によっては、判例に従い、各相続人に対し、その相続分に応じた払戻しをするケースがありましたが、一般的に、金融機関は相続人間の紛争に巻き込まれるリスクを回避するため、預貯金の払い戻し方法について、相続人全員の同意書の提出を求めてきたのです。
   しかしながら、平成28年12月19日決定の立場では、預貯金は当然分割とは考えられませんので、今後は、相続人全員の合意がない限り、金融機関は払い戻しに応じることはないと考えられます。

4.最高裁大法廷決定による影響について

   従来の判例の考え方では、被相続人が一部の相続人に対して生前贈与していたり、相続人の中に財産上特別の寄与をした者がいた場合でも、相続財産の銀行預金については、それらの事情が考慮されず、相続開始と同時に、当然、法定の相続割合に分割されると解されてきました。最大決平成28年12月19日により、相続人間の合意がなくても銀行預金が遺産分割の対象となったことで、実質的な公平が確保されやすくなったといえます。
   一方で、遺産分割前に、被相続人が負っていた債務の弁済ができなくなったり、遺産分割が長期化し、相続税の納付に支障をきたしたり、早期に払い戻しを受けられなくなることにより、不都合が生じるおそれも考えられます。

    今後は、遺産分割の前に預貯金の払い戻しを受けられないことを前提にして、生命保険の活用、遺言などの準備を生前に行う必要性が増してきたといえます。

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